ふるさと納税の控除は、確定申告が必須の時期がありました。

現在は、ふるさと納税の控除は手続きをしなくても受けられる場合があります。

確定申告をしないでふるさと納税をする方法について見ていきましょう。


サラリーマンが確定申告不要でふるさと納税をする方法

2014年以前は、サラリーマンがふるさと納税で控除を受けるためには、確定申告をするしか方法がありませんでした。

ところが、2015年から一定の条件を満たすサラリーマンなどの給与所得者は、確定申告をする必要がなくなりました。

サラリーマンが確定申告不要でふるさと納税の控除を受ける方法を、ワンストップ特例制度と言います。

ワンストップ特例制度の利用者は年々増加しています。

ワンストップ特例制度は、本来は年末調整で納税するため確定申告をする必要がないサラリーマンが、ふるさと納税の控除を受けるために確定申告するケースが急増したことを背景に作られました。

このワンストップ特例制度は、自営業者や個人事業主などは利用できません。

また、全てのサラリーマンが利用できるわけではありません。サラリーマンでも確定申告する必要がある場合があるからです。

例えば、年収が2,000万円を超えるサラリーマンや、副業などで2か所以上から給与を得ている場合は、確定申告をしなければなりません。そして、確定申告をしたらワンストップ特例制度は適用されません。

ワンストップ特例制度は、確定申告が不要の代わりに、申し込みの度にふるさと納税に対して申請書を送る必要があります。

1月1日から12月31日までの1年間で、ふるさと納税を行う自治体が5自治体以下の場合、ワンストップ特例制度が利用できます。

1つの自治体で繰り返しふるさと納税をするのは問題ありません。

ただし、ふるさと納税以外で確定申告する必要があるサラリーマンは、ワンストップ特例制度は利用できません。

年収が2,000万円以上の場合や、年間20万円以上の副業をしている場合などは確定申告するしかありません。

もし、ワンストップ特例をした後に確定申告をしなければならない理由が生じた場合は、ワンストップ特例は全て無効になります。

その場合、特別な手続きは不要です。ふるさと納税をする自治体の寄付金受領証明書を添付して確定申告しましょう。

また、ワンストップ特例を申請した後に引っ越しをした場合には、翌年の1月10日までに寄付先の自治体に変更届書を提出しなければなりません。

もし間に合わなければ、確定申告しましょう。

ワンストップ特例は、確定申告とは異なり、所得税からは控除されません。

全額住民税からの控除になるため、ふるさと納税額の控除額を確認する際には注意しましょう、銀行口座への還付もされません。

ワンストップ特例を利用するには、まず「寄付金控除に関わる申告特例申請書」を、ふるさと納税をする自治体に送る必要があります。

ふるさと納税サイトから申請するか、自治体に連絡して送付してもらいましょう。

申請書に必要事項を記入し、自治体に返送します。

マイナンバーの記載も義務付けられています。ふるさと納税を行うたびに申請書を提出する手間はかかりますが、確定申告をしなくてよいため、多くのサラリーマンが利用しています。


ワンストップ特例を利用する際の注意点

ワンストップ特例は、サラリーマンなどの給与所得者がふるさと納税をする際、確定申告をせずに控除できる便利な制度です。

そのため、ふるさと納税をするほとんどのサラリーマンや公務員などがワンストップ制度を利用しています。

しかし、少数ではありますが、給与所得者でもワンストップ特例を利用できないケースがあります。

また、利用できる場合でもいくつかの注意点があります。

サラリーマンなどの給与所得者であれば全てワンストップ特例が利用できるかというと、そうではありません。

年末調整によって課税手続きが完了し、確定申告をする必要がないことが条件の一つです。

例えば、年収が2,000万円を超えるサラリーマンは、確定申告をする義務があります。

もしワンストップ特例を利用した後で給料が上がり、その年の年収が2,000万円を超えた場合、ワンストップ特例は無効になります。

その他にも、医療費控除のために確定申告が必要な場合や、2か所以上から給与をもらっている場合などの場合も、ワンストップ特例は利用できません。

副業をしているサラリーマンは注意しましょう。

その他にも、FXや仮想通貨への投資などを行い、20万円以上の利益を得ている場合は確定申告が必要になります。

特に仮想通貨は、2017年より通貨に認定されたため、注意しましょう。

また、確定申告の義務がない給与所得者でも、寄付する自治体が6か所以上になった場合、確定申告しなければなりません。

つまり、寄付する自治体の数を5自治体以内に限ることが、ワンストップ特例を利用する条件です。

ただし、繰り返し同じ自治体に複数回のふるさと納税を行っても、それは1自治体にふるさと納税を行ったことになるため、その合計数が5か所以内ならワンストップ特例が適用されます。

次に、ワンストップ特例を利用する際の注意点です。

まず、ふるさと納税を行う自治体に対し「寄附金税額控除に係る申告特例申請書(以下、申請書)」を請求します。

ワンストップ特例を利用する場合、ふるさと納税を行った自治体に対して申請書を送付する必要があります。

この申請を忘れると、税額の控除を受けることができません。

申請書には、住所・氏名・電話番号等の個人情報と、寄付金額を記載します。

そして、申告の特例者に該当することをチェックし、押印しましょう。

2016年からは、申込用紙に個人番号を書くことになりました。

それに伴い、個人番号の記載された本人確認書類を提出することも義務付けられています。

提出する書類は、次の3つの内の一つです。

1.マイナンバーカードのコピー
2.通知カードまたは番号付き住民票と運転免許証等個人を特定できる書類それぞれのコピー
3.通知カードまたは番号付き住民票と健康保険証等それぞれのコピー

申請書を受け取る方法は、自治体によって異なります。自治体から郵送される場合と、ダウンロードして自宅のパソコン等で印刷する場合があります。

いずれの場合でも、提出は郵送に限られます。

一部の自治体では申請書をアップロードできるケースもありますが、ほとんどの自治体は郵送しか受け付けていません。

同じ自治体に2回以上ふるさと納税をした場合、例え同じ返礼品であってもふるさと納税をした回数分の申請書を郵送しなければなりません。

申請書の締め切りは翌年の1月上旬で、2017年分の申請は2018年1月10日必着です。

この期日に間に合わなかったら、確定申告しなければならなくなります。

郵送代が必要なだけでなく、切手を貼った返信用封筒を送る必要がある自治体が多いようです。

もし、ワンストップ特例を利用した後に引っ越しをした場合は、注意が必要です。

ワンストップ特例で控除されるのは住民税ですが、住民税は翌年1月1日時点での住所地に対して行われます。

そのため、申請書の変更届をダウンロードなどで入手し、ふるさと納税先の自治体に対して翌年1月10日必着で郵送しなければなりません。

確定申告の還付と違い、ワンストップ特例を行っても還付されません。

その代わり、住民税から税額が控除されます。

控除額を確認するには、住民税決定通知書に記載してある税額控除額を見ましょう。

この税額控除額にはふるさと納税に加え、2,500円前後の調整控除や住宅ローン控除なども含まれています。


まとめ

確定申告不要のふるさと納税について見てきました。

内容をまとめると以下のようになります。

  • ワンストップ特例制度を利用することで確定申告が不要になる
  • ワンストップ特例制度を利用するには、各自治体への申請が必要
  • 年度の途中で確定申告が必要になる場合もある

サラリーマンでも確定申告が不要のふるさと納税について見てきました。

ワンストップ特例制度を利用すれば、確定申告が不要で控除が受けられます。

なんらかの理由で確定申告が必要になる場合もあるため、不安な時は確認してみましょう。