ふるさと納税を行い手続きを行うと、所得税と住民税から控除を受けることができます。

では、その控除額はどのように計算し、いつ控除されたかどうかはどのように確認するのでしょうか。

このページでは、住民税の控除額計算方法と控除されるタイミングについてご紹介します。


ふるさと納税の住民税の控除額計算方法と控除額の目安

ふるさと納税 寄付金控除

ふるさと納税の控除が対象になるのは、所得税と住民税です。

控除を受けるには手続きが必要になりますが、その方法は2つあります。


確定申告とワンストップ特例制度

個人事業主や副業収入にある会社員は確定申告を利用します。

確定申告で控除を受ける場合、所得税が還付され住民税は控除されます。

給与収入のみで確定申告の必要がないかたは、ワンストップ特例制度を利用することができます。

ワンストップ特例制度で控除を受ける場合は、所得税の還付はなく住民税からの控除のみとなります。

給与収入のみの場合でも6自治体以上に寄付をした場合は、確定申告が必要です。

控除される額はどちらも変わらないため、状況に応じた方法で手続きをしましょう


所得税・住民税の控除額計算

所得税や住民税の控除額計算には、所得税率が関係します。所得税率は所得金額により変化します。

ここでは、年収が300万円のかたをモデルとするため、所得税率は10%で計算します。

年収300万円のかた(所得税率10%)がふるさと納税で10,000円寄付し、確定申告した場合


所得税の還付額

(ふるさと納税額-2,000円)×所得税率10%=800円

給与をもらっている場合、所得税は既に天引きされているため、このモデルでは800円が戻ってくることになります。

還付方法は口座振り込みです。


住民税控除額

住民税控除は、基本分と特例分に分かれます。まず、基本分から計算します。

(ふるさと納税額-2,000円)×10%=800円

そして、特例分を計算します。

(ふるさと納税額-2,000円)×(100%-10%-所得税率)=6,400円

基本分と特例分を合わせて、7,200円が住民税から控除されます。

なお、住民税はふるさと納税を行った年の収入より計算されるため、すぐに反映されません。

住民税は1月1日~12月31日までの年収などをもとに計算されます。

住民税額が決定し反映されるのは、6月以降になります。つまり、ふるさと納税を行った翌年の6月から1年間分の住民税が安くなります


控除額合計と確認方法

この計算式だと、所得税還付が800円、住民税控除分が7,200円で合計8,000円の控除を受けることができます。

住民税が実際に控除されたかどうかは、住民税決定通知書で確認することが可能です。

住民税決定通知書は、6月頃に勤務先や自治体からもらうことができます。

住民税決定通知書の市民税・県民税の税額控除額を見てみましょう。ここにふるさと納税で控除される住民税の額が記載されます。

しかし、調整控除2,500円分も含まれています。調整控除は全ての方に適用されるため、2,500円を除いて計算しましょう。

また、住宅ローン控除や配当控除なども含まれているため、摘要欄の記載を確認するか、自治体へ問い合わせることをおすすめします。


ふるさと納税の住民税が控除されるタイミング。還付はされる?

ふるさと納税 ベルメゾン

ふるさと納税で確定申告やワンストップ特例制度を申請した場合、限度額から自己負担金2,000円を除いた金額が、所得税と住民税から控除されます。

住民税の控除はどのような形でいつ受けのでしょうか。


住民税の控除は還付されない

所得税が確定申告から1~1.5か月、審査に時間がかかっても2か月で振込によって還付されるのに対して、住民税からの控除は還付されません

さらに、ふるさと納税の控除額は所得税より住民税からの控除が高くなるしくみになっています。

このような理由から、振り込まれた還付額だけ見ると寄付した金額より少なくなってしまいます。

また、ワンストップ特例制度を利用した場合は、所得税からの控除は行われず、所得税分も含めた控除額が住民税から控除されるため、還付はありません。


住民税はいつ控除されるのか

住民税はふるさと納税を行った翌年度分の住民税を減額する形で控除されます。

例えば、2017年10月にふるさと納税を行い、翌年2018年の3月15日までに確定申告を行った場合、2018年度の6月もしくは7月(勤め先による)から1年間、住民税が控除により減額されます。

ワンストップ特例制度を利用した場合についても、ふるさと納税を行った翌年度分の住民税から減額されます。

ここで注意したいのは、住民税が控除される年度に変わっても、4月から5月もしくは6月分の住民税額は、各自治体が確定申告に基づき税額を算定する期間であるため、前年度の住民税額である点です。

住民税の減額はあくまでも翌年度の6月もしくは7月からになるので気を付けましょう。

このように、住民税からの控除は現金による払い戻し(還付)ではなく、翌年度からの減税となるのですぐに全額返金されるものではありません。

しかしながら、長い目でみると控除限度額から自己負担金2,000円を除いた金額は最終的に相殺され、返礼品ももらえるためお得であることには間違いありません


ふるさと納税の住民税の控除がされたか確認する方法

ふるさと納税 おせち

ふるさと納税の税額控除のうち、所得税の還付は指定の口座に振り込まれるため確認しやすいのですが、住民税の場合は翌年度6月から1年間の住民税から減額されるため確認しにく、分かりづらいものになっています。

住民税が控除されているかを確認する方法は、会社員と自営業で大きく変わることはありません。

どちらも住民税の税額決定通知書で確認を行います。


住民税の税額決定通知書での確認方法

確認方法は二つあります。一つは税額控除額の欄で確認する方法、もう一つは摘要欄で確認する方法です。

税額控除額の欄は全ての自治体で記載されていますが、摘要欄は自治体によって記載の有無が違うため注意が必要です。


税額控除額の欄で確認する方法

全自治体共通で税額控除額といった記載があります。

市区町村民税と都道府県民税に分けて記載されているため税額控除額の欄は2つあります。

この2つを合わせたものにふるさと納税の控除分が含まれます。

注意したいのが、この2つの税額控除額にはふるさと納税分以外の控除額も含まれている点です。

必ず含まれるのが調整控除で、少なくとも合計2,500円程度が加算されています。

また、住宅ローンがある方も税額控除額に含まれます。


摘要欄で確認する方法

自治体の中には、摘要欄に寄付金による控除の金額を分かりやすいように記載してくれるところもあります。

その場合、「寄付金税額控除 30,000円」のように記載されており、ふるさと納税した分の住民税からの控除額は摘要欄を確認すれば分かります。

しかし、摘要欄への記載は自治体の任意であるため、記載されていない場合もあるので注意が必要です。

会社員でかつワンストップ特例制度を用いて控除申請を行い、ご自身での確定申告が不要な方はここまでで確認終了です。

確定申告を行う全ての方、すなわち自営業、もしくは会社員の方であっても確定申告が必要な方は、所得税の還付額と住民税からの控除の合計額がふるさと納税に関する控除額になります。合わせて確認が必要です。

なお、ここでは簡易的に住民税の税額決定通知書と表現していますが、正式には「給与所得等に係る市町村民税・道府県民税 特別徴収税額の決定・変更通知書」とされています。

自治体によって形式は多少異なりますが、内容は同じです。


税額決定通知書がもらえるタイミング

ふるさと納税 ベルメゾン

サラリーマンの場合、住民票を置いている自治体から勤め先の会社を通じて5月から6月ごろに配布される、住民税の税額決定通知書によって確認することができます。

自営の場合も、6月上旬から中旬ごろの時期に住民税の税額決定通知書が送られてきます。


控除額に間違いがあると思ったら?

最後にもし、控除額に間違いがあると思ったら以下の5点をまず確認しましょう。

自己負担金2,000円を寄付金から差し引いて計算しているか。

所得税の還付分を足し込み忘れてないか。

ワンストップ特例制度の申請を忘れている自治体はないか。

ワンストップ特例制度を用いて六つ以上、ふるさと納税を行っていないか。ふるさと納税の控除限度額を超えて、寄付を行っていないか。

所得税の還付の足し忘れは確定申告を行った方のみが対象です。また、ワンストップ特例制度を六つ以上行った場合は、確定申告が必要になります。

この5点に問題がない場合には、役所に確認するのが確実です。

税額控除額の調整控除や住宅ローンの詳細も正確に把握することができます。

また、役所側の手続きに間違いがある可能性があります。

ふるさと納税を利用する方が急激に増えたために、稀に間違いも見られるようなので自分自身でしっかり確認するようにしましょう


まとめ

ふるさと納税 お得

ふるさと納税の住民税の控除額計算方法と控除されるタイミングについて見てきました。

内容をまとめると以下のようになります。

  • 住民税控除は基本分と特例分を計算しその合計が控除される
  • 住民税の控除は住民税決定通知書で確認できる
  • ふるさと納税を行った翌年度分の住民税を減額する形で控除される

ふるさと納税をし手続きを行うと、所得税と住民税が控除されます。

控除される金額を知り確認することで、より確実にお得なふるさと納税を行うことができます。

ご自身でしっかり把握しておくことをおすすめします。