ふるさと納税は、寄付先の返礼品がもらえることと税金が控除されることが魅力の制度です。
税金の控除について、その仕組みや計算方法・確認方法を知っておくことで、より確実にふるさと納税を行うことができます。
このページでは、ふるさと納税の控除の仕組みと控除額の確認方法をご紹介します。
ふるさと納税の控除の仕組み
ふるさと納税をする人が年々増えていますが、その理由は寄付先の返礼品をもらえることと、ふるさと納税をした金額の税金が控除されることです。
原則として自己負担額2,000円を除いて全額控除されます。
控除される税金は、所得税と個人住民税の2種類です。
そして、控除を受ける方法は確定申告とワンストップ特例方法の2通りあります。
所得税と住民税の仕組み
所得税と住民税の仕組みは、やや異なります。所得税はふるさと納税を行った年の所得税から控除されます。
計算方法は、(ふるさと納税額-2,000円)×所得税率です。また、所得税には復興所得税も加算されます。
住民税は、基本分と特例分にわけられます。基本分は(ふるさと納税額-2,000円)×10%、特例分は所得税率と基本分10%を引いた金額です。
具体的な計算方法はさらに細かいですが、税務署が計算してくれます。
控除上限額
控除には上限額が設けられています。上限額の計算方法は複雑に入り組んでいて、上記の基本的な計算方法だけでは割り出しにくいです。
総務省やふるさと納税サイトが公表している上限額早見表を見て参考にしましょう。
上限額は年々見直され、2015年には控除上限額が2倍に引き上げられました。
この記事では2017年分のふるさと納税の控除について説明しますが、今後変わる可能性もあります。
控除上限額の目安は、あなた本人の給与所得と、家族構成によって違います。給与収入が多いほど控除上限額が高くなります。
300万円以下だと3万円以下、1000万円以上になると20万円以上控除される場合があります。
家族構成は、独身や共働きだと一番多い金額が控除されます。子どもがいる家庭の場合は、子どもの年齢によって上限額が異なります。
中学生以下の場合は変わりませんが、高校生や大学生なら、上限額が減額されます。
70歳以上の年金生活者も、ふるさと納税の控除を受けることができます。上限額は、多少優遇されています。
確定申告とワンストップ特例制度の違い
次に、確定申告とワンストップ特例制度の違いです。ふるさと納税の控除を受ける場合は、そのどちらかを行う必要があります。
自営業者など毎年確定申告をするかたには、簡単な内容です。
一方、ワンストップ特例制度はサラリーマンで一定の条件のかたが行う控除の方法です。
こちらは、確定申告よりも簡単ですが、税申告をしたことがないかたには慣れが必要です。
確定申告
確定申告は、年一回行います。
前年の所得に応じて税金を申告する制度で、2017年1月1日~12月31日分の期間で確定した所得に対し、2018年2月15日~3月15日の間に税務署に対して確定申告を行います。
対象者は経営者や自営業者、パートやアルバイトで一定以上の収入がある人などです。
サラリーマンでも、ふるさと納税先を六つ以上の自治体に行う場合などは確定申告する必要があります。
確定申告は、確定申告書等作成コーナーで作成した確定申告書を税務署に提出するか、手書きで作成した確定申告書を税務署に提出するか、e-Taxで確定申告データを送信するかのいずれかで行います。
確定申告書等作成コーナーでふるさと納税の控除を受ける場合は、所得税の確定申告書から「寄付金控除」の蘭に入力します。
その中の「寄付金控除、政党等寄付金等特別控除」画面で寄付年月日と寄付金の種類を選びます。
寄付金の種類でふるさと納税(都道府県、市区町村に対する寄付金)を選択したら、ふるさと納税をした自治体名と名称を選択し、ふるさと納税額を入力します。
寄付先の所在地や名称は、自動的に表示されるので便利です。
ふるさと納税先が2件以上ある場合は、もう一件入力するをクリックし、同様に入力しましょう。
入力が終了すると、具体的にいくら税金が控除されるか、自動的に計算されます。
ワンストップ特例制度
ワンストップ特例制度を利用できるのは、五つ以内の自治体にふるさと納税を行うサラリーマンや公務員などの給与所得者です。
なお、同じ自治体に6回以上ふるさと納税をした場合もワンストップ特例制度が利用できます。
ワンストップ特例制度は、2015年4月1日に創設されました。
それ以前は、サラリーマンや公務員がふるさと納税の控除を受けるには、確定申告をするしか方法がありませんでした。
しかし、寄付者の手続きを簡素化する目的で、ワンストップ特例制度が始まりました。
この特例がいつまで続くかは不明ですが、ふるさと納税の利用者が急増しているため、しばらく続くと考えられます。
ワンストップ特例の方法は以下の通りです。
まずふるさと納税を行う時に、ふるさと納税先の自治体にワンストップ特例申請書を提出します。
すると、その自治体があなたが居住する自治体に必要情報を連絡します。
あなたが居住する自治体はその情報を受けて、翌年の住民税を減額します。
すなわち、あなたがやることはワンストップ特例申請書の提出だけです。これは、ふるさと納税をする都度、提出が必要です。
注意点は、ワンストップ特例申請書は翌年1月10日までに提出が必要な点です。
また、個人番号の提示も必要です。ワンストップ特例申請書に個人番号カードまたは運転免許証などの添付をします。
ワンストップ特例を利用した際に、本当にふるさと納税額が控除されているか不安になった場合は、住民税決定通知書で確認ができます。
ただし、ふるさと納税額が具体的に引かれたかどうか、細かく記載されていません。
どうしても細かく知りたい場合は、自治体に問い合わせましょう。
ふるさと納税の控除額の計算方法、確認方法
ふるさと納税の大きなメリットは、主に二つあります。ふるさと納税をした自治体からもらえる返礼品と、税金が控除されることです。
そして、税金のしくみを知ることで、より家計を助けることにつながります。
税金を控除するためには、確定申告またはワンストップ特例制度を利用する必要があります。
そうすると、ふるさと納税を行った翌年に支払う所得税と住民税が控除されます。
控除された税金のうち、所得税の還付金があれば、銀行口座への振込などで確認できます。
しかし、住民税が本当に控除されたのかを知るには、自分で計算するか問い合わせて確認する必要があります。
まずは、自己負担分の2,000円を除き、全額控除の対象になっているかを計算して確認しましょう。
ふるさと納税の控除対象となる金額には、寄付者の年収や家族構成により上限額が設けられています。
複数の自治体にふるさと納税をしても、合計金額がその上限額以内であれば、自己負担分は2,000円です。
例えば、自治体Aで10,000円、自治体Bで20,000円のふるさと納税をしても、合計金額30,000円が上限額を下回っていれば、28,000円控除されます。
上限額の目安として、独身で給与収入が年額300万円の場合、ふるさと納税額が28,000円以下なら、自己負担分の2,000円を除いて全額控除されます。
この限度額を超えたふるさと納税は、控除の対象になりません。
例えば、上記の例でふるさと納税額が合計で40,000円だった場合、10,000円超の自己負担額を支払う必要があります。
できる限り自己負担額を少なくしたい時は、控除額の計算方法を知っておきましょう。
控除額の計算方法
ふるさと納税の控除額の計算方法は、所得税からの控除と、住民税からの控除の2通りに分けられます。
住民税からの控除は、さらに基本分と特例分に分けられます。
所得税からの控除
まずは、所得税を確定申告する場合を考えましょう。
自営業や事業者、さらにはパートでも一定以上の収入があれば確定申告が義務づけられているため、すでに確定申告を経験しているかたには理解しやすいでしょう。
初めて確定申告をするかたは、パソコンで国税庁のホームページにアクセスして、確定申告書等作成コーナーを利用するのが便利です。
面倒な計算は自動で行ってくれるため、便利です。パソコンでの確定申告が苦手なかたは、税務署で行うこともできます。
わからないことはすぐに質問できるため、初めての確定申告で不安なかたにおすすめです。
自治体によっては確定申告相談コーナーを開設しています。
所得税からの控除金額は、(ふるさと納税額-2,000円)×所得税率です。
例えば所得税率が20%のかたがふるさと納税を25,000円した場合、(25,000円-2,000円)×20%=4,600円が所得税からの控除金額です。
ここで計算された控除金額は、寄付金控除になります。寄付金特別控除とは異なります。
確定申告書等作成コーナーで入力する場合、「都道府県、市区町村に対する寄付金(ふるさと納税など)」を選択しましょう。
金額を入力することで、上記の計算を自動で行うため、金額を確認するだけで済みます。
手書きの場合は、記載する科目を間違えないようにすることと、計算間違いをしないように注意しましょう。
所得税からの控除金額は、総所得金額の40%が上限になっています。
これは、所得が高い人が所得税を減らす目的で多額の寄付をしすぎないようにとの措置だと考えられます。
所得税の税率は、累進課税によって所得が多くなるほど高くなるしくみです。
税制改革の議論も進んでいるため、今後税率が大きく変わる可能性がありますが、現時点では5%~45%の7段階に区分されています。
住民税からの控除
次に、住民税からの控除金額は、基本分と特例分を足した合計金額になります。
細かい金額は、個人によって変わるため、おおまかな基準について説明します。
基本分
まずは基本分です。基本分の計算方法は(ふるさと納税額-2,000円)×10%です。
25,000円のふるさと納税をした場合は(25,000円-2,000円)×10%=2,300円です。
特例分
特例分の計算方法は、(ふるさと納税額-2,000円)×(100%-10%-所得税の税率)です。
所得税率が20%で25,000円のふるさと納税をした場合は(25,000円-2,000円)×(90%-20%)=16,100円です。
住民税からの控除金額(基本分と特例分の合計)
これで、4,600円+2,300円+16,100円=23,000円となり、自己負担額の2,000円を引いた金額が控除される計算になります。
ただし、もし特例分が住民税所得割額の2割を超える場合は、計算が変わります。
その時は、住民税所得割額×20%が控除金額になります。この場合、ふるさと納税の自己負担金が2,000円を超えます。
そのため、住民税所得割額がいくらになるかが、ふるさと納税で損をしないために大事な要素です。
住民税所得割額の計算方法は、(前年の所得額- 所得控除額)× 10%-税額控除額です。
所得税の計算と少し似ています。ただし、所得税とは違い、自己申告ではなく市区町村が行います。
滅多にないことですが、この住民税所得割額などが間違って記載されていることもあります。
ふるさと納税に限らず、明らかに税額に食い違いがある場合は、疑問点を問い合わせて確認しましょう。
また、所得控除額の計算方法は確定申告と少し違います。例えば基礎控除金額が33万円です。
扶養控除や社会保険料控除、医療費控除などもあります。計算が複雑になる場合は、税理士などに相談することも検討しましょう。
控除額の確認方法
計算が終わったら、控除額の確認の方法です。
所得税の控除額の確認
まずは所得税から控除される金額の確認ですが、所得税の確定申告でふるさと納税は寄付金控除になります。
もし確定申告の際、寄付金控除の対処がふるさと納税のみなら、上記で計算した通りの金額ですが、他の寄付もある場合は、合計した金額が寄付金控除になります。
寄付金控除の例は、ふるさと納税のように都道府県や市区町村に行う寄付の他にも、公益社団法人・公益財団法人・社会福祉法人・学校法人・認定NPO法人・政治活動に関する寄付金のうち一定のものなどです。
所得税の確定申告の確認は、実際に自分で行うため比較的容易です。確定申告書の控えと照らし合わせれば確認できます。
ちなみに、ワンストップ特例で控除申請する場合は、所得税の計算は必要ありません。
住民税の控除額の確認
今度は、住民税の控除額を確認しましょう。確定申告の提出期限は3月中旬で、所得税が確定します。
その後、5月か6月ごろに住民税決定通知書が届くため、その書類で確認することができます。
住民税決定通知書には、税額控除額という項目があります。全ての納税者には、調整控除で少なくとも2,500円が控除されます。
つまり、税金控除額-調整控除額2,500円が、ふるさと納税の住民税からの控除額になっているはずです。
ただし、この税金控除額には、ふるさと納税の控除額以外の控除が含まれている可能性があります。
住宅控除や配当控除などです。それらの金額も含めて計算しましょう。
この住民税決定通知書は、自治体によって形式に大きな差はありませんが、異なる場合があります。
親切に「寄付金控除額○円」と記載してくれる自治体もあるため、その場合は計算する手間が省けます。
ワンストップ特例の場合
ワンストップ特例の場合は、そもそもサラリーマンや公務員などの給与所得者が、確定申告をしなくてもふるさと納税の控除が受けられるようにするための措置として、所得税は対象外です。
それならワンストップ特例が損かというと、そうとは限りません。
なぜなら、所得税からの控除が行われない変わりに、それとほぼ同じ金額が住民税から控除されるからです。
ワンストップ特例をして、ふるさと納税の控除が行われているか確認するには、住民税決定通知書を見ましょう。
確認すべき科目は確定申告した場合と同様ですが、金額の計算方法が異なります。
ワンストップ特例は、所得税の控除がないかわりに、申告特例控除があります。
つまり、ワンストップ特例を行う場合、住民税の基本分、特例分に、申告特例控除が加わります。
ただし、ワンストップ特例は、6か所以上の自治体にふるさと納税をしたら無効になります。その場合は、
確定申告を行うことで控除が受けられます。
まとめ
ふるさと納税の控除の仕組みと控除額の確認方法について見てきました。内容をまとめると以下のようになります。
- 控除される税金は所得税と住民税の二種類
- 控除を受けるためには確定申告かワンストップ特例の手続きが必要
- 税金の仕組みを知っておくことでよりお得にふるさと納税を行うことができる
ふるさと納税を行い税金の控除を受けるためには確定申告などの手続きが必要です。
また、控除額の計算方法や確認方法を知っておくことも大切です。
仕組みや方法を理解し、より確実にお得なふるさと納税ができればいいですね。